偶然の科学

誰かが成功して有名になると、もっとらしい説明が大量に流れてきます。でもその大半は、後付けにしかみえないものばかりです。

「いやいやいや、そうとも言い切れんでしょ、偶然でしょ。」
といつも思っています。

たとえば、成功者3人が共通して実行したことを上げ、そのことが重要だと主張するのはよくあるパターンです。

事実、それをやって成功しているから、もっともらしく聞こえます。が、同じことをして失敗した100人がいるかもしれないことを考慮している説明にはほとんどお目にかかりません。

「偶然の科学」という本を読んだら、そんな私の考える以上に、世の中はたまたまで、予測なんてものはいい加減なのと書いてあります。

社会学が難しいのは追試ができないことです。同じレシピで追試したけど、再現しないよ、という検証ができません。しかし、ネットの発達でこれに近いことができるようになったようです。

人気投票のできる音楽共有サイトで、一定人数で区切り、人気投票数などのカウントも別々に集計される、ある種のパラレルワールドを作った実験が紹介されています。

この結果、上位に入る楽曲はほとんど異なっていたということです。もちろん、一定以上のクオリティのある音楽は上位に入りやすい傾向は認められたものの、上位に必ずなる法則は存在しなかったのです。

人は他の行動の影響を受けるため、初期の投票が伸びていく段階でのほんの些細な条件によって変わってしまうようです。

キャズム理論を非常に単純化した思考実験で、この原理の説明をしています。

誰もやっていなくても一人でも行動する人、1人いたらやる人、2人いたらやる人、100人いたらやる、、、、1000人いたらやる人となっていて、ドミノ倒しのようにして広がっていくとすると、「たまたま」初期の段階で、4人いたらやる人の前に、5人いたらやる人しか来なかったりすると、そこで止まってしまいます。そういう理屈ではないかというのです。

口コミを広げる上で重要と言われているインフルエンサーについても、過大評価されているといいます。

その説明でなるほどと思ったのは、

「山火事が起きるためにもっとも鍵となる条件は何か?」と問われて、インフルエンサーを重要視する人は、「最初のきっかけとなる火薬が強力なこと。」と答えるに等しいというのです。

実際には、「燃えやすい木や葉が多いこと。」の方が重要です。影響されやすい人が多いことがポイントというわけです。

ここが一番印象的でした。