タリンでミュージカル


タリン最後の夜、ミュージカルを観た。この度の期間中、せっかくだからずっと観たいと思っていたのだが、ヴィリニュスでは8月は休み、リーガでは売り切れていた。


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劇場に行って明日のを買いたいです、って言っても変えないのは当然と言えば当然かもしれないが。その点タリンでは幸運にも、15日に17日の最後1枚のチケットを買えた。最上階ので端っこで、照明がすぐ前にあって、いい席ではなかったけど。

エストニア語で話が進んでいて、舞台の上に電光掲示板に、ロシア語と英語の字幕がつく。会話では結構早く切り替わっていくから、ついていくのは大変だったが、まあ、物語の筋はそんなに複雑ではない。

ストーリー上でも踊って出し物をするシーンでは、踊りそのものがパフォーマンスになっていて会場も盛り上がる。観客も手拍子する。全体に、手拍子が好きなようだ。役者が手拍子を求めるシーンもあった。同じ絵を日本でも見たことがある。一番最後、終わった後も、ずっと手拍子だった。アンコールを要求しているように聞こえたけれど、どうなのだろう。

テーマは伝統と恋愛の葛藤、そして、ロシアの迫害。伝統に縛られず、恋愛で結婚相手を選ぶという真っ直ぐな愛というテーマ。それよりもまして、ロシア軍の描写はなかなかすごい。

前半の最後、結婚祝いの席で、みんな楽しく踊っているところにロシアの軍隊がやって来て、文字通り宴会の席をぐちゃぐちゃにする。私は前半と後半に分かれていることも知らなかったから、席を立っていくのを見て、まさかこれでおわりなのか!?と思ったが流石にそれはなかった。

エンディングでは、強制移住を命じられる。移住までの期間は3日。吹雪の中、移動する人々。小さな子供がおそらく死んだを思われる描写で幕が下りた。観客にはロシア人も多いはずなのだが、なかなかストレートな描写だ。帰り際年配の女性で目が潤んでいる人も見かけた。日本で言う心中物のようによくあるパターンなのかもしれない。

パルヌの土産物屋でEstanianの条件などと書いた絵葉書があった。
ひとつ、歩くの早いこと、から始まる。こういうのは大阪人、とか言うパターンもありそうだ。4,5個あったのだが、その中に、神は信じない、ただし、EUを信じる、というような記述があった。現在もロシアの脅威を感じているエストニアにとってEUの繁栄は切実な希望なのだろう。

一方で、バルト三国は、日本の地方と同じく、毎年万単位の人口流出に悩まされている、という側面もあるのだけれど。